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アイラブユーを唱える時、ただ混乱のさなかだったと思う。それは、空中からダイブするより勇気がいって、なんなら口か心臓が吐き出せそうなくらいだった。
その、言葉は必然性を持っていた。
だが、カードを切るように、ボクは偶然を装って言った。
切り札は、僕の心のうちにはなかった。
ただ、君が持っていた、返答のカードは、
「愛してるって、本当? ごめんなさい。本当に嬉しいんだけれど、実際に愛してるのは、あなたっていうより、あなたと友人を含めた、環境そのものなの!」
という、いわば、ハートのジャック的なよく出来た答えだったのさ。
彼女との友好関係に、たしかに楽しみを見出していた僕も僕だが、彼女を含めた友達とやる、スプラトゥーンや、APEXはたしかに楽しかったが、彼女が実は僕のことなんか、眼中になかったなんて!
それはそれは、悲しいすれ違い。
カードはやっぱり、あがれないような、陳腐な組み合わせで、だけれども僕はその、狭量さに彼女を見下してもいたんだ。

1/29/2024, 10:32:59 AM