遠い約束
夜の底に降り積もるのは、
言えなかった言葉の欠片。
君の背中に投げかけた、
静かな視線だけが、
辛うじて、俺の存在を繋いでた。
ずっと憧れてた。
でも、俺は、
君の何にもなれなくて。
君と笑い合うふりをして、
静かに、目を逸らしてた。
言葉にしてはいけないものが、
あることは分かってた。
だから、俺は、
『親友』という透明な牢から、
逃げ出せないままでいる。
あの時、
伝えられなかった一言が、
今も、胸の奥で鈍く疼く。
ずっと、手が届かないままの、
…遠い約束。
流れていく季節は、
俺だけを置き去りにして巡る。
例え、この想いが消えても、
君には気付かれないような。
そんな曖昧な存在のままで。
それでも、
君が笑って居られるなら、
俺はこの痛みを、
誰にも渡さず、
抱き締めて眠るよ。
明けない夜に、
君の名を呼ぶことさえできずに。
ただ…独りきり。
4/9/2025, 9:27:37 AM