一夜の夢

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君が微笑んで言う。

「わたしはあなたがいるから幸せだよ、本当に幸せ」
「俺も君がいるから幸せだよ」

口に出すと照れくさくて、二人して笑い出してしまう。
遠く愛しい日々。



「僕は君がいるから幸せだよ、本当に幸せなんだ」

思わず息を飲んでしまった。
ああ、どうしておまえが、彼女と同じことを。

幸せとは、気づかぬうちに心に根を張っているものらしい。
その証拠に、君が撒いた幸せの種は今でも心に優しい花を咲かせている。
けれど。

「…俺も」
「そっか!嬉しいな」

けれど、目の前で満面の笑みを浮かべるおまえの愛も本物で。
知らない間に芽吹いた幸せが、彼女を失ったときのまま止まっていた心をゆっくり溶かしていく。

もう、そろそろ良いだろうか。
いいよな、君のとこにいくまで。

1/4/2024, 1:53:01 PM