君は私を純真無垢な少女と、
信じて疑わないのだろう。
私がこんなにもどす黒い感情で、
君と接しているというのに。
君はいつだって私を生まれたての赤子のように、
真っ白な画用紙かのように、
綺麗なものだけをこの目に映し、
美しいものだけを身に付けさせた。
君は思いもしないのだろう。
私が独占欲と嫉妬心に溺れていることを。
綺麗なものをどれだけ映しても、
この瞳が穢れを忘れることはなく。
美しいものを纏ったこの身には、
二度と消えることのない醜い傷が幾つもある。
君は何度も私の体の傷を見ては、辛そうな顔をする。
その顔をずっと見ていたくて、傷は増えてゆくばかり。
きっと君が気付くことは無いのだろう。
私がどれほど重く君を想っているか。
君は愛しいわが子を見つめるような瞳で私を捕らえる。
欲のない、私の想いとは違う愛情で、
私を見つめ苦しめるのだ。
その瞳が私を傷付けている事など、
君は知る由もないだろう。
君に見つめられる度に、私は君を恨んでしまう。
何故こんなにも愛しているのに、
私と同じ気持ちになってはくれないのか。
どんなに清らかな振りをしても、傷を増やしても、
君は慈愛に満ちた瞳を私に向ける。
それが酷く悲しくて、それでも愛してしまうのだ。
せめてその慈愛を、私だけのものに。
そう思ってしまう私は、既に穢れきっている。
5/31/2024, 12:58:11 PM