まるで自分のことのようで嬉しかった。
やっと、その道を選べたんだね。
これからも大きな壁が立ち塞がるだろうけれど、あなた達なら二人で手を取り合い、歩んでいけるよ。
この喜ばしい気持ちを伝えるように、照れくさそうな笑みを浮かべる彼らには気づかれぬ位置から、横並びする二つの背へと触れてみた。
──伸ばした指も手も、どちらの体にも当たらず、すり抜ける。
これで「私」の出番は終わり。
誰にも見えない姿のまま、声も知られぬまま、そっと静かに消えられる。
頭上高くの天から、終いの鐘が鳴り響く。
私達が見届けられるのは“いつも”此処までとなる。
最後に添えよう、一番強く願い込めた言葉を。
「……それじゃあ、お元気で」
【幸せに】
3/31/2024, 2:06:01 PM