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『未来への鍵』

年が明けてすぐ、友達が鉛筆をプレゼントしてくれた。理由がわからず首を傾げると、その人はこう言った。

「もうすぐ共テでしょ。」

大学受験は、まさに自分の人生を、運命を決める戦いだ──これは、高校生にとって最後の戦争なのだ。命を燃やせるほど物騒な世の中ではないけれど、確実に、命を削ってでも、自分の青春をビリビリに引き裂いてでも欲しいその未来を目指している。この戦争の準備には、あらゆる武器が使える。だけど、戦が始まれば、私たちの武器は自分と鉛筆だけになる。そりゃあ、不安だ。
しかし、なるほど、と思った。私は今、この鉛筆を『武器』と言ったが、この人にとっては武器などではなく、『未来への鍵』なのだろう。この鍵をしっかり持って、しっかり鍵穴に入れて、しっかり鍵を回せば、未来の扉は開く。そうやって、私たちは夢見る未来を実現させる。

「頑張ろうね。」
「うん、もちろん。」

私たちは強くグータッチをした。とても痛かったけれど、これも、もう二度と得られない青春なのだろう。不思議と、寂しくはない。世の中は、全て未来への鍵でできている。

1/10/2025, 1:28:09 PM