【雨に佇む】
突然に降り出した雨
傘はとっくに誰かに折られ奪われ
自分の身を守ることなど出来なかった
周りは雨から逃れるために
僕のことなど視界に入っていないよう
僕が持っているのはきみからもらった透明な傘だけ
透明だから誰にも壊されないし盗られたりしない
正真正銘僕だけの傘
そっと壊れないように開くと
途端に世界と僕が切り離されて雨音が音楽に変わる
僕の中を通り抜けて
行き急ぐ人たちの罵声さえも飲み込んで
水溜まりに跳ねる雨粒で宇宙が広がる
その前人未踏の地に踏み入れて僕も歩みを進めた
2024-08-27
8/27/2024, 1:49:26 PM