けう、僕の人生の中で
一番と言える友がくる。
嬉しい気持ちとは裏腹
外は薄暗く陰惨な雰囲気である、
しかし、そんなことに構わず
急ぎ身を整え、部屋を片す。
準備が終わるまでは
まだ来るなよと念じていたが、
準備が終わってしまえば
早く来い、早く来いと念じてしまふ。
友との時間は一瞬だ、
酒を飲み女房の愚痴を吐露する
多少の賭け事で場を盛り上げ、
少々盛り上がりすぎることもあるが
それはそれだ。
月にひとつか二つ催されるこの宴は
いつも同じように始まり、
同じよふに終わる。
しかし、今日は違う
今までの秘め事をゐう、
そう決めているのだ
いつもなら解散するとこを引き止められ
友は不思議そうな顔をする、
「お前の事を友だと思つたことは無かったよ。」
戸惑う友を無理矢理戸の外へ押しやる。
「また会おう。」
そう小さく呟いた、
ああ、最後の最後まで
心を晒すことは出来なかった。
けう、僕はひとり
暗い部屋で眠りについた。
11/13/2023, 12:09:25 PM