紫陽花の葉に溜まった雨滴の香りを嗅ぐ。鼻の奥が沁みるようにツンとするのは、湿った植物から立ち昇る独特の匂いのせいばかりではなく。雨はわずかながらに勢いを増して、けれど静かに降り続く。私は自分の身体を濡れるに任せたまま立ちつくす。今日のかなしい出来事に、耐えきれずこぼれた涙の跡を、雨の香りのせいなのだと私は自分自身に言い訳する。
6/20/2025, 2:29:14 AM