「アオハル」
「部活作ろうと思うんだけど、どう思う?」
「どうって何が。部活作るって、何部だ?」
「わかんない。何部がいいと思う?」
「いや、俺に訊かれても」
こいつはいつも言動が意味不明だ。
それは昔も今も変わらない。
高校に入って、それまでの真面目キャラ(若干天然)からギャルへとキャラ変したつもりなのだろうが、変わったのは外見だけ。そのことに安堵していることは、黙っておこう。
「なぜ部活作ろうと思ったんだ」
「なんかね、部活って、青春〜!アオハル〜!って感じするじゃん」
「あー……まぁ、部活に入ってないよりは、何かスポーツや文化的な活動に打ち込んでいる方が、側から見ればそう見えるだろうな」
「でしょでしょ〜」
「まさかとは思うが、青春するために部活作ろうっていうんじゃあるまいな」
「え、ダメなの?」
「ダメじゃないけどさ……」
俺はため息をついた。
「帰宅部とか、どうかな」
「帰ってどうする」
「じゃあ、部室でそれぞれネットしたり読書したり、好きなように過ごす、自由部」
「部活にする必要性を感じないから、申請しても却下されるだろうな」
「うー……じゃあ、こんなのはどう────」
たぶん、こいつは気づいていない。
目の前にいる幼馴染の異性が、自分をどういう目で見ているのかを。
青春は部活だけではない。
幼馴染の男女が、こうやって放課後に教室でくだらない話をしていること、そのものが後から振り返ってみたら青春以外の何ものでもないことを。
────放課後
10/12/2024, 4:08:57 PM