無音

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【25,お題:裏返し】2023/08/22 ※保存を忘れ消滅。
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【26,お題:海へ】

「ねぇ、みんなで海へ行こうよ!」

最初に言い出した奴、絶対許さない。



地図にも載ってないようなクソ山奥のド田舎村をでたのはいつだったか、すでにかれこれ4日ほど歩き続けている。

「ひぃぃ無理だよぉ疲れたぁ、休もうよヒカル~」

「俺も...マジでキツイ、せめてバスとか乗れないか?」

「あーもう誰だよ、歩いて海まで行こうとか言い出した奴~~~!!!」

...お前ら叫ぶ体力があるなら、バス停を探してくれ

現在、俺たち4人は夜明け前の薄暗い町中を歩いていた。

何故こうなったのかって?それは次の通りだ
誰かが海まで歩こうと言い出す→行けるんじゃないかと思い村を飛び出す→現在に至る

なんでOKしてしまったんだあの時の俺よ...

「僕もう無理ぃ...死んじゃうよー」

「...ッあ!お前ら静かにしろ...なんか聞こえないか?」

ザザン...ザバン...

どこかからか、微かに聞こえる奇妙な音
小豆を桶のなかで転がしたときとよく似ている
もしや、と思って顔を見合わせた

「「「「マジか」」」」

誰からとなく走り出した、今までの疲れとか関係ない
目の前に迫ったゴールに俺たちのテンションはMAXに到達した

ちょうど日が昇る、金色の光が降り注ぐ
胸一杯に大きく吸い込んだ潮の香りが鼻を刺した。

「っっいいやったああぁぁっっっ!!!!」

思い切り叫んで、石造りの階段を駆け降りる
慌てて追いかけてくる3人を横目に、俺はリュックを投げ捨て海へ飛び込んだ

冷たい、あとしょっぱい!

「しょっぱ!?マジでしょっぱいじゃん!すげぇーっ」

「しょっぱいっていうか、辛い!」

「っはは!マジで来ちゃったぁ!」

ギャーギャーはしゃぎながら朝焼け色の海を走り回る
初めての海は、見たことない程美しく

そして、潮の味がした。

8/23/2023, 3:38:35 PM