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【真昼の夢】

今日は木曜日
平日だし働いている人も多い時間だろうに
仕事が休みの私は
昼食のあと洗濯物をたたみ終わるなり
ソファに横になって目を閉じた

窓から差し込む柔らかな日差しが心地よい
お腹がいっぱいなのも手伝って
ふわっと気持ちいい眠りに落ちていく

浮かんできたのはもう会えない人の姿だった
忘れていたはずの声だった
いつか本当にあった出来事を固めた思い出だった
都合のいい夢だった

全部全部、もう元には戻らないのに
後悔さえ忘れて
ただ生温かいだけの真昼の夢に浸った

あの人は笑っていた
優しい言葉をくれた
いつかの思い出はハッピーエンドに繋がった

夢だから
夢でしかないから
都合がよくたっていいでしょう?
目を覚ますまでだけだから
きっとほんの数時間、数分だから
それだけだから許してほしい
悔やまなくてはいけないことも
悲しむばかりだったことも
都合よく忘れさせて
あの人の綺麗なところだけに触れさせて
真昼の暖かさをあの人の温かさに変えて

真昼の夢は苦しいくらい
私だけに甘い
覚めてしまえばどれも消えて
私の頭からも奪われていくのに
それさえ思い出せないくらい
真昼の夢に深く浸らせて
現実だと思わせて
ほんの少しだけの幸せな時間を過ごさせて

どうせまた明日からは
仕事がはじまるんだから
目を覚ませば
あの人がいない世界に引き戻されるんだから

7/16/2025, 2:54:48 PM