人さがし

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─相合傘─

君は覚えてる?

あの日の帰り道を。私はとても覚えてる。

梅雨入りした日本。じめじめした空気。

湿度と温度が高い日だった。

朝は晴れていた。天気予報でも晴れだって。

そう言ってたのに。

「本当宛にならないよなぁ。」

私の隣で空を見上げる彼。

もう他の生徒は居ない。

傘を持ってきている人、学校から借りた人、

親に迎えに来て貰った人。

様々な人が居た中、私達は傘を持っていなかった。

『先生が傘貸してくれたけど...。』

私の手元には一つの傘。この場にいるのは二人。

「...もし嫌じゃなければ、一緒に入らない?」

『...濡れるの嫌だし、入る。』

そして始まった、相合傘。

私達は沈黙。雨の音だけが響く。

でもそれが心地よかった。

あの夏が一番、大好きだった。

───そう学生時代を語る彼女は、僕の婚約者。

あの傘の下で、告白して正解だった。

僕と君の思い出に残る、最高の夏だった。

6/19/2023, 10:32:44 AM