木綿

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2人きりの帰り道。
もう夕暮れが綺麗に全てを紅く染めて。
何となく話しながら、ゆっくり歩いて、とりとめなく話した。
まだもう少し。
そう思っても足と共に道も進む。

あ、ちょっと。

そう言って足を止めたきみは、ぼくの耳元に。
寄せたくちびるを頬に軽く当てた。

またあした

逆行に隠したきみの顔と、陽に照らされた僕の頬は。
あつく、あかく。
柔らかなしあわせを映していた。


「別れ際に」

9/29/2023, 5:08:05 AM