灯月

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【波にさらわれた手紙】

潮の香りが満ちる午後
あの日、書きかけた言葉を
そっと封じて波へとゆだねた

伝えたかった気持ちは
風に乗って遠くまで届くはずだった
けれどそれは、空の流れにまかせて
いまはただ見送ることにした

形にはならなくても
想いはきっと、生きている
海の底で眠るように
大地の奥で脈打つように

忘れたふりをしていた願いが
風のささやきとともに目を覚ます
あの手紙は、まだ旅の途中
やがてあなたのもとに
新しいかたちで還ってくるだろう

だから、待つのではなく
感じていて
呼吸のように静かに深く

8/3/2025, 6:37:21 AM