『哀愁を誘う』
終わった終わった!
仕事帰り
夜遅く
ふと空を見上げる
そこには月が夜の空に浮かんでいた
満月か
夜にしては月の光で明るい
あっちの方に少し開けた場所があったはず
ちょっと駆け足で行く
そこには細身の男性が一人立っていた
月を見上げていた
後ろ姿だったがぼくは何かを感じた
今にも夜空にサーっと消えそうな感じだった
行かないで!
気づいた時にはもう声が出ていた
え?
彼が振り向く
いやっあの、、、すみません、、、
あなたが消えそうだったもんで
とぼくが答える
消える?僕が?っハハハ
急に彼が笑いだした
がまた月を見上げた
その横顔は今までの人生の中で
見たことがない美しさだった
しかし美しいだけではなかった
なにかもの悲しさを感じた
彼のことが気になった
いつもこの真夜中に月を見に来るそうだ
ぼくは毎日ここに通い始めた
いつ見ても哀愁を漂わせている彼
ぼくはその哀愁に誘われ
今日もまた彼に会いに行く
11/4/2024, 12:09:03 PM