語り部シルヴァ

Open App

『虹のはじまりを探して』

昔、虹のはじまりにはお宝が眠っていると
どこかで聞いて冒険に出たことがある。
リュックにジュースとお菓子を詰め込んで
友達と一緒にお宝を目指したことがあったっけ。
今じゃただの散歩の距離だけどあの頃は大冒険だった。
学校の通学路を超えて、自分の太ももくらいの
高さの雑草をかき分け、流れる川を一枚の板を使って渡って...

家から遠くなればなるほど不安が募って怖かった。
けどそれ以上に友達と一緒に遠くを歩く。
なんだかどこまでも行けそうな気がした。

結局のところ虹のはじまりには
辿り着けず暗くなる頃に帰った。
お宝は見つけれなかったけど、
あの頃のドキドキとか蝉の声とか
空に映えていた入道雲をよく覚えている。

臭い話、あれがお宝ってことにしている。
あの頃にはもう戻れない。
そんな二度と手に入らないお宝の話。

語り部シルヴァ

7/28/2025, 10:54:44 AM