言葉にしないと分からないって言うけど、言葉にせずとも伝わる気持ちの方が高尚なものだなんて、イキがってたの。
触れる指先やキスの味。
お弁当に入れる卵焼きは甘めで、ご飯は硬め。
あなたに関わる全てに、愛してるを散りばめた。
明日も明後日も、この先ずっと。
目が覚めてから眠るまで、あなたと一緒に居られる。
そんな当たり前で当たり前じゃなかったことに、今気付くなんて。
心電図の波形が弱々しくなっていく病室では、医者と看護師が、黙って私と彼を見つめていた。
止めてよ。死を待たないで。
何で、どうして。
彼の唇はもう開かない。
私に何度も愛を伝えてくれた声も、聞こえない。
待って、置いていかないで。
最初で最期の愛してるを、こんな形で言わせないで。
彼の鼓動の波が凪ぐ。
私は、愛を泣き叫ぶ。
5/11/2026, 10:57:18 AM