目の前に、最愛の人が座っていた。あの頃となに一つ変わらぬ姿で。瞬間、これは夢だなと自覚する。もう何度目か分からない夢。どこかの庭園で、あの人と向かい合わせに座っている夢。彼女は微笑んだまま何も言わない。「お久しぶりです。……また貴女に逢えて、とても嬉しい」瞬きひとつしない彼女に、私は語り出す。それが届くことなどないと解っていたとしても。
6/17/2025, 10:46:44 AM