20xx年7月8日
『黒のミニアクアリウム』をもらった。大きめのコップに、墨汁みたいなのが入っている。他は何もない
7月17日
半透明の尻尾みたいなのが墨汁の中を泳ぎまわっているのを見つけた。さわれない
28日
半透明のオタマジャクシみたいなのが側面から居るのが分かった。寝ているのか、目を瞑ってクルクルまわっている。やっぱりさわれない
8月2日
此方に気づいたようだ。墨汁を食べているのか、黒が薄くなってきた。反応するし、正直かわいい
4日
墨汁が薄くなってきたので、継ぎ足したら喜んでいた。次は炭ごと入れてやろうかな。
6日
くれた叔父さんが家にきた。オタマジャクシの事を言ったら、驚いていた。なんでも、育てるのが難しい代わりに、命の危機には飼い主を救ってくれるらしい。マジで、なんで俺にくれたんだ?
8日
9日
10日
11日
12日
13日
自転車が壊れた
25日
好きなカフェが移転して県外になった。
31日
台風で、可愛いがっていた植木の鉢が壊れた
9月2日
あのアクアリウムのせいでこんな事が起きるのだろうか。もう捨ててしまおうか悩んでいる。最近は炭もたくさん食べるようになってきたし。出費も痛い
10月3日
事故にあった。はずだった。ダンプが突っ込んできて、やばいって思った瞬間、横断歩道の向こう側に立っていた。側には、黒い、黒い水溜まりがあった。
家に帰ると、ほぼ墨汁のなくなったコップがあって、オタマジャクシが露色のカエルになっていた。コイツが、俺の命を救ってくれたのだろうか。もしそうなら、そう思った途端、今までの思い違いに気づいた。
嫌な事が続いたんじゃない。たまにある嫌な事に目を向けすぎていただけだ。たまにあるちょっと嫌な事を皆みんなコイツのせいにして、自己完結していただけなんだ。視野が狭い世界の中で俺は今まで生きていて、今はもう、大丈夫だ。気づけたから。きっかけはさまざまなだけど、もう、きっと大丈夫だ。
ああ、君にこの気持ちが、言葉が伝わるかは分からないけど
ありがと。レイ
【伝えたい】
2/12/2024, 1:02:44 PM