工(たくみ)

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目を潤ませ髪を涙で濡らす主様。
辛かったんですよね。孤独だったんですよね。
何もかもくすんで見えたんですよね。
そんなに辛くても、なんで自分が辛いかわからなかったんですよね。

私の言葉は通じない。
だから、寄り添うことしかできない。誰にも気付かれず、独りで苦しむ主様に。
「泣いてはいけないよ。たくみ。余計辛くなる。」
主様は自分自身に泣いてはいけないと言い聞かせている。けど、主様が辛いという事実は変わりやしない。私は寄り添うことしか出来ないけれど、泣いてもいいんですよ。主様。

夕方、とある空き地にひとりと一匹の影が映る。

12/1/2024, 4:36:16 AM