お題『風に乗って』
俺は空を見上げていた。両手両足を広げ、布に張り付いたダチが沢山の人に引っ張られながら空を舞っていた。
最初、ダチから「俺、風に乗ろうと思う」って言われた時は唐突な発言に「は?」と返したものだ。
人間が風に乗る、なんて出来るわけ無いがダチはなにも考えてなかったらしく、俺が「人間凧は?」と言ったら「それだ!」と言い出して、いそいそ準備に向かってしまった。なにも考えてないくせに行動は早い。
だから今、こうしてダチが文字通り風に乗っているのを見て、馬鹿げた試みなのに本当に実現してしまっている。
俺は叫んだ。
「すげーよ、お前!」
凧に乗って飛んでる友達は、俺を見つけたのかニッと不敵な笑みを浮かべた。
4/30/2024, 1:39:47 AM