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 私は客にひたすら謝った。腰を九十度以上曲げて、ひたすら頭を下げ続けている。
 でも客はずっと怒ったままだ。

「大体なんで、rygdjrdM'tなかtw3976woijg」

 何を言っているか聞き取れない。それでも私はひたすら腰を折るしかない。

 客は何で怒ってるか。
 閉店時間過ぎているのに店の入り口を閉めずにいたからか。
 はたまた違う商品を渡してしまったからか。
 もしかして、ずっと待たせてしまっていたからか。

 怒鳴りつけてくる客にいちいち萎縮していて、理由なんて忘れてしまった。



 こんな夢を見るようになって十年以上経った。
 未だにクレームの夢を見る。
 あまり気持ちのいいものではないから、いつも目覚めが悪い。

 分かっている。
 現実で販売員に直接クレームをいう客の対応を私がすることは、数年に一回の出来事であることを。
 コントロールできない夢だからこそ、似たようなシチュエーションで何度も繰り返すのだと。

 私にとって夢も現実と同じくらい怖い。
 ああ、今日も寝るのが怖い。


『夢と現実』

12/4/2024, 2:36:15 PM