海の底に沈めた手紙

Open App




ゆったりとした優しい音色だった。

何を弾いてくれてるのかわからないくらいのまどろみのなかで理解できたのは
君が私のために奏でているのだということだけ

いたい。苦しい。
そう言った私に寄り添ってくれたのだろう


ばくばくと胸を叩きつけていた鼓動は今は静かに彼の音色を感じている
浅かった呼吸は苦しさから解放されて深く深く体から力が抜けていく
暖かい腕に包まれて、優しい音を感じながら
そのまま身を任せて瞼を閉じた


もうこわくないのに、最後までだいじょうぶだよ、と私に伝えてくれている
そばにいてなんて、私の言葉なのにね
先に言ってしまうんだよね、君は


このまま、まどろんでいたかった
ありがとうもおやすみも言えぬまま
夜が溶けていく


目覚めた朝はどんな幸せに満ちているだろうか




2/6/2026, 11:43:51 AM