Jane↺Do゚

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   ―【 誰よりも、ずっと 】―

 …

「……お前、なんでさっき…【他の方とは比べ物にならないくらい、俺は違います】
…って、言ったんだよ。……違うってなんだよ。」

そう、彼は俺の事を真っ直ぐと…狼が獲物仕留めた後、その死体が動いた時のような…
未確認生命体を見つけたときの様な、不安と心配の混ざった目で見つめて言いました。

髪の毛が月明かりに照らされ、俺が水面を眺めていても…ジッと見つめてきて、
なんだか心地よい様な…悪い様な。

彼が何かを考えるような素振りをして、首をかしげて…
俺に何か言おうとした後、口を閉じ…また口を開きました。

「……なんも分かんねえ。お前の事」

一生懸命考えているのに、分からないなんて。なんだか可愛いなと思い少し微笑みました。
俺は一歩でも分かりやすく出来るよう…ちょっとした例え話をしました。

彼は真剣に聞いていて、深夜の暗闇の中では琥珀色の目が光輝きよく映えました。
なんだかそれが、懐かしくて。照れくさくて…俺も人間みたいになったなと思いました。

「………。」

彼は、無言でただ俺を見つめて居ました。色々な感情が空きビンに詰まって、
開かなくなってしまった様な。そんな複雑で不思議な顔。

何処か現実を受け止められない、星空をゆらゆらと舞うクラゲのような感じでした。

なんだかそれが可笑しくて、可笑し過ぎて少し困ってしまって。
また、空白を埋めるように。俺は微笑みを彼に向けました。

「なんで、…お前はそんな事言うんだよ。分かんない、ああ分かんねえよ。
分かりたくもねえ…!……でも!それでお前は哀しくねえのかよ…!

……誰にも理解されずに、普通ちょっとは哀しいとかあるだろ…!」

…彼は必死に、縋り付くように俺に言いました。
声を発し、セイレーンのような面持ちで。

でも俺は生きてゆくから、哀しくなんてないんです。
人間でもない、不完全な生き物。
これから何億年も、何前兆年も生きてゆく中で、そんな事を気にしてられない。

彼は黙って、ひまわりが凋んだ様に月を見上げました。
夜風がふき彼の髪を撫でるように動かしていて、それが凄く美しく感じて。
……もし、彼が「俺みたいに生きられたら」。なんて馬鹿みたいなことを考えました。

…でも、いつか終わる彼の命と人生。
この景色が朽ち果てようと、この世界が滅びようと。

俺は必ず彼の事を覚えていようと思いました。

俺は、誰よりも、ずっと。
彼の事が大好きだから。

4/9/2026, 7:52:43 PM