「死んでも巡り会えたらいいね」
「…………重い」
そんな言葉がつい口から出た。
「重くないよ。恋人の儚い願い事じゃないか」
「儚くない。重い」
「なんで」
「…………だって死なないんでしょ、君は」
天使様ならしいのだ、演奏者くんは。天使様は死なない。だから彼の言葉は正確には『君が死んだら会いに行くね』である。重すぎる。
「……そんなこと言ったら、多分この世界は死と生の狭間だと思ってるよ」
「じゃあもう死んでるね」
「巡り会えたってことか」
「…………それだとボクが生きてた時に会ってたみたいだよ」
「……それは、ないな…………」
彼は酷く困ったような顔をした。なんでそんな顔をするのか、全く意味不明だったけれど。
「……まぁ、また会えるよ。死んでも、例えばユートピアで生きられなくなっても」
「…………なんでそんな断言するの」
「愛が、あるから」
「…………重い」
「ふふふ、嫌いじゃないくせに」
10/3/2024, 1:39:33 PM