"二人ぼっち"
「ハナ」
「みゃあ」
「ハーナー」
「みゃーあー」
名前を呼ぶと、やまびこのように鳴き返してくる。
面白くて何度も繰り返す。
「ハナー」
「みゃー」
俺の声を真似て鳴くのが面白い、そして可愛い。
今は二人だけ──厳密には一人と一匹──だからできる。
こんな所、他の人には見せられない。いや、見せたくない……恥ずかしいから。
ここに居るのは、ハナと俺だけ。この時だけはハナに目いっぱい構う。
普段は居室に缶詰め状態にしたり、一人でお留守番させたりしているから、その罪滅ぼしではないが、二人で居る時は沢山構っている。
「ハーナ」
「みゃーあ」
そしてハナの頭にキスを落とす。ハナの柔らかな体毛が口元を覆う。
ゆっくり離して、頭を撫でて毛並みを整えてあげる。すると喉を鳴らして『もっと』と言わんばかりに手に擦り寄ってきた。
「いっぱい撫でてやるから止めろ」
少し呆れ笑いを含みながら言って、ハナの気が済むまで沢山撫でた。
3/21/2024, 2:10:06 PM