独り言を紡ぐどこかの誰か

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時々、自分が自分なのか分からなくなる。

好きな食べ物、趣味、大切な人
全部、嘘なのかもしれないと。

自分の本音はどこだろう。

そんなものは小さい頃、
逃げる才能と引き換えに、

どこかへやってしまった。

いかなる時も逃げ道を作り、
何かあったら消える。

目を離したらいつの間にか居なくなっていそうだと
私自身思うことがある。

それくらい臆病なのだ。

本心は誰にも見せるものではない。

仮に棘を刺されてしまったら、
もう二度と立ち上がることはできないだろう。

どこまでも臆病で自分にすら心を閉ざした
誰よりも墓に持っていく秘密が多い人間だから。

その秘密をひとつでも持って帰れば
私を支配することなど容易いことも、

誰も知らないのだろう。
誰も知ろうとしないだろう。

私を誰も見ないのも納得だな。

いくら見たとしても、
どんな闇より深く、底が見えない。

堕ちるしか方法がないなら誰だって諦めるさ。



人前で溢れるほど感情が出て号泣できる人を
どうしよもなく羨ましく思うのは

心を閉ざした代償か
無情な心を持った嫉妬か

好きなものは嫌いなもの以外で、
本当の言葉は嘘以外の言葉なのは

私が嘘つきで、こだわりがないからか
自分をどこか他人事だと思っているからか

こんなにも自分について考えているのに
確信していることがひとつも無いなら

私を見てくれる人なんて
余程の物好きなのだろうな。



10/12/2025, 11:05:34 AM