物心着く前、よく母と手を繋いでいた気がする。
少しひんやりとしていて優しく包み込んでくれる事に何よりも安心感を得ていた。
だからだろう。いつしかそれが癖となっていたのは。
どんな人よりも手を繋いできた。
友達との挨拶代わりは握手だったし、初めての恋人との繋ぎは昨日のように思い出せる。
だから寂しくなんかないさ。
私の目を下に向ける。そこにはあるはずの手がなかった。
交通事故。運が良かったのか悪かったのか命は無事だった。その代わとばかりに私の両腕は切除しなければならなかった
私のはもう人一倍ある思い出もあるし作り続ける。手を繋げることが出来なくても心では繋がっているから。
12/9/2024, 3:49:12 PM