温泉に浸かりながらァア゙〜と声を出す。湯に入るとどうしても言ってしまう。あたたかい嬉しい声だ。
横に入る人も、向こうの人も同じようにそれぞれに声を出している。
ココは秘境の秘湯なのだが、今日はやたらと混んでいるような気がする。
ただ、湯気が多く、誰か居るかは分かるが誰が居るのかまでは分からない。
肩を超えて口元まで湯に浸かりたまに揺れる湯面の波を感じつつしばらく目を閉じる。
何分かは数えてないが、そろそろのぼせそうだなと目を開けてお湯から出る。
近くの岩に座り火照った身体を冷ましながら聞こえてくる「あたたかいね」の声と色んな声をゆったりと聞く。
風がすっと吹いて湯気が晴れていく。
見えたのは、色んな物語の一行達。
男、女、動物、お地蔵様、鬼、蟹、異国の姫に王子様まで。
それぞれがそれぞれにあたたかいねと湯に浸かりただ湯を楽しんでいるのでした。
それも一瞬、また湯気に覆われる秘境の秘湯はしばらくあたたかい声がしているのでした。
(あたたかいね)
色々物語混ぜて秘境の秘湯にまとめて入れて、ところでこの語り部は一体誰?
1/11/2025, 12:21:48 PM