〈明日世界が終わるなら〉
“何もしない”
私は何もしない。どうせ。
御高尚であろう方々は恐らく「愛する人へ感謝を…」なんて仰っているのだろう。いやはや、眩いに尽きる。
私は生涯中学二年生の精神が脳にこびり付いているが故、そんな終末空想は幾度とこなした。斜に構えた思考は専売特許とも言える程度に。
仮にどこかの頭脳明晰な御人や、百戦錬磨の予知能力者が終末を悟ったとする。しかし恐らく我々には何も知らされないのだ。
気付けば世界が終わっている。
気付けば己の体が死んでいる。
そんなものなのだ、案外。いくら我々が気に掛けたとて。
清廉で御高尚な貴方、何を未だこちらを見ているか。早急に端末を置き、思いつく限りの恩人に感謝でも述べてくるといい。
明日なんて悠長に構えてはいけないよ。
私はいいんだ、もう終末に備えて布団を敷いたところだから。
5/6/2024, 10:28:45 PM