お題《恋物語》
夜の底に咲く少女と。
夜の底で月を睨む少年と。
祈りの言の葉を織り続ける少女は、雷鳴轟く夜、紅く濡れる少年に「死を織れ」と冷たく剣を突きつけられる。
少年は沈黙し、少女は誓った。
「ではこうしましょう――わたくしとあなたの死を、織りましょう」
「……正気か? 見知らぬ浅はかな奴と、死をともにするなど」
「ええ。だって知りたいのです、あなたを狂気に走らせる真実を」
「…………はあ。わかった」
これは夜の底で強く煌めく少女と。
悪夢の鳥籠に囚われた少年の、真実への道を織る物語。
5/18/2024, 11:04:40 AM