真っ白な部屋で、白うさぎが走っている。うさぎを認識した瞬間、部屋は開けた場所になった。どうやら平原のようだ。
急がなくっちゃ、と走るうさぎをなんとなしに追いかける。
ふっ、と突然体が浮いた。視線を足元にずらす。大きな穴が空いていた。
ああ。アリスの夢を見ているのだと思った。
その刹那。体は急落下し、地面に叩きつけられる。
夢とは思えないほどのリアリティを持った痛みが全身を襲った。
うう、と口から声が漏れ、なんとか立ち上がる。
穴のそこは薄暗く、周囲の様子を見にくい。
それでも目を凝らしてみれば、そこには屍。それも一つ二つじゃない。大量に。
屍の中心で、あの白うさぎが踊ってる。
「やったやった。期限内に贄を揃えられたぞ。さあ神様に捧げるぞ」
その瞬間。目が覚めた。
部屋の中は暗く、カーテン越しに車のライトが差し込むだけだ。
なんだ夢。変な夢だった。……あれ? どんな夢を見てたんだっけ?
何故か痛む体を落ち着かせて、再び眠る。
白うさぎは、ジッとこちらを見ていた。
5/18/2023, 3:21:17 AM