寝る前に仕込んだ水出し珈琲
朝を迎えて夜に染まる なんて
グラスの氷越し 幽かな君の寝癖
朝焼けを通しても 表情は見えない
黒は黒 呑みこむしかないのだ
感傷を越えて君が覗き込む 確かに
そういうズルも あるんだろう
進まなくて
ずっと朝みたい 苦いのは苦手
冗談で愛想笑いして
ずっと猫みたい 返却しなよ
私は私 呑みこむしかないのだ
ミルクを注いで シロップで演じて
グラスの氷越し 白が濁らせていく
もう何を通しても 表情は見えない
飲み切る前に君が覗き込む 静かに
グラスを置いて 唇が触れる距離
そういうズルも あるんだろう
――――
(透明)
5/21/2024, 4:37:29 PM