玉響

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『たくさんの想い出』
夜明けと共に、辺りは目を覚ましだす。
太陽の暖かい光に朝露がきらりと光る。
一日の始まりを告げる風がやって来て、葉は揺れて露を落とす。
それを見ていると、突然まばらな影が私を覆う。
空を見上げる。一群の鳥が夜空へ翔ける。
向こうの空はまだ眠ったまま。この光を届けてと、彼らに願う。
叶うなら、私も向こうへ連れて行って。

あなたはまだ夜から帰っては来ない。
カーテンの隙間から、月があなたの顔を白く照らした。
不意に訪れた嵐で、雫はとうに涸れ切った。
私に、とても大きな陰が差した。
上を向くことなんてできない。あなた一人を置いていくことなんてできない。
この夜はまだ明けないまま。この闇を払おうと、私は誓う。
絶対に、あなたを向こうから連れ出すよ。

あなたとやってきたたくさんの事、
想い出になんてしたくないから。

11/18/2023, 12:41:33 PM