しずく

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暗がりの中で必死に手を伸ばしては、必死に呼吸をしようと
もがいていました。
いつか向こうの明るいところへ行けると、幸せになれると、
信じて。
でも、もがいても、もがいても、あの明るい場所には近づけませんでした。遠退くばかりでした。
いつの日か、なにかがぷつん。切れてしまいました。
あの明るいところへはどう頑張ったっていけないのか。もがいたってもがいたって、なにも変わらずに自分が苦しむだけなのか、と。
その日から、手を伸ばすことをやめました。呼吸することも諦めました。
そうして、そんな暗がりの中でぼんやりと生きてみると、案外自分に合ってる気がする、と。こっちのほうが生きやすい、と。気づいたのです。



─暗がりの中で─ #108

10/28/2024, 10:47:31 AM