あなたに見つめられると、どうしようもなく苦しいの。
学校の廊下、移動教室のときにたまたまよく知る二人とすれ違った。その片方が、驚いたように私を見つめた。……やめて、やめて。苦しい。彼女から逃げるように、近くのトイレに駆け込んだ。
「っはぁ、は……ぁ」
冷や汗がすごくて、手が震えている。焦点もあわない。息が、途切れる。勝手に涙が出てくる。
彼女は、私の元姉だった。怒りっぽくてで、完璧主義で、それなのに……それなのに、自己犠牲をする人で。いつもいつも私を周りの人間から守ってくれた。いつもいつも怪我だらけだった。彼女は、私が頼りすぎるせいで……私が頼りなさすぎるせいで、ストレスによって倒れた。そして―――怒りっぽいのがそこに回ったのか、目が覚めたとき私に当たった。その時に医者やナースがいたから、のちに周りの人間……主に親の虐待が判明して、私達は解放された。けどその後の姉の態度がとにかく不安定で、私と姉は離れた。
私が頼りになれば、彼女はあんなにも傷つかなかったかも知れない。私が少しでも彼女を守れれば、離れ離れになることはなかったかもしれない。私がいなければ、私を守るなんてことがなければ、彼女はストレスで倒れなかったのかもしれない。彼女が、いなければ―――私の背に、こんな傷跡がつくことも……なかったかも、しれない。私にとって彼女は助けられなかった人で、そして私を傷つけた人。
「……私はまだ、あなたと向き合えない」
見つめられると、苦しいの。見つめないで、思い出させないで。まだ……忘れたままでいさせてほしい。あなたに、見つめられると―――傷だらけの昔を、思い出してしまう。
3/28/2026, 11:07:15 AM