家に帰って、着替えてからリビングに向かう。
今日は時間調整で午前上がりだったし、彼女の特攻がないから、まだ家に帰ってないんだろうな。
そんなことを考えながらアイスが欲しくて、冷凍庫を開けると銀のバットの中に冷凍用の保存袋。そこには俺の名前が付箋に書いてあった。
「なんだこれ?」
俺はその保存袋を確認すると、どうやらチョコレートアイスみたいだった。
もしかして、手作りしてくれたのかな?
俺は冷凍庫を閉めて首を傾げた。
どうしよう。
勝手に食べていいのかな?
そうは思うけれど、俺宛の付箋のメッセージだから多分大丈夫とは思うけれど。
うちには、ふたり揃ってクリームソーダが大好きだから、アイスが必ず冷凍庫に常備している。
だから、この暑さでアイスが欲しいと、いつもなるんだけれど……。
すると、ポコンとスマホに恋人からのメッセージが入った。
『お疲れ様です。家にチョコレートアイスがあるので、食べてくださいね』
うわー。
俺の彼女はメッセージのタイミングはいつも絶妙で、今日もこのタイミングでのメッセージが来て相変わらず神がかっているとスマホに向かって拝んでしまった。
もちろん、お礼のメッセージは忘れない。
お礼を送った後、保存袋から少しだけとアイスクリームディッシャーでデザート皿にポンと置く。
キラキラと輝くチョコレートアイスに視線を向けてしまう。あの保存袋に入っていたということは、多分手作りだよな。
というのも、彼女と関係性の距離が縮まるきっかけは、彼女の作ってくれたチョコレートアイスからだった。
俺はチョコアイスをひとすくいして口に運んだ。
ああ、思い出す。
初めてチョコレートアイスを貰ったのは、まだ彼女の強さに気が付かなくて、彼女を守らなきゃと思った頃の話だ。
すぐ怪我をしていて、見ていて不安になる彼女だったんだ。
今は彼女はそばにいてくれて、愛しいと思える存在になってくれた。
何口か食べていて気がつく。
初めて食べた頃より、味がまろやかになっていて……美味しくなってる。
俺のために美味しくなるように頑張ってくれたんだなと分かって、自然と口角が上がってしまった。
うん、美味しい。
おわり
四一八、あの日の景色
7/8/2025, 1:07:40 PM