私ときみは、赤い糸で繋がっている。
見えない糸は産まれた時からあって、歳を重ねていく度にきみとの距離が縮んでいく。
そうしてようやく会えた。私が高校一年生になった頃だ。
「やっと会えたね」
穏やかな風が吹く四月。桜の花弁が美しく舞っている。
最高のシチュエーションに、私の心は踊っていた。
風で乱れる髪を手で直しながら、私はきみに近付いていく。
きみは私に気が付くと、驚いたような顔をする。
私もだよ。
こんなところで会えるなんて思わなかった。
だけどもう大丈夫。私ときみは今日からずっと、一緒だよ。
そしてきみは口を開けると、開口一番私にこう言った。
「ごめんなさい。あの、どなたですか?」
#39 赤い糸
6/30/2023, 10:36:10 AM