アクヤ

Open App

「その手袋、もうボロボロじゃん」





「うん。でもお気に入りなの。」





「何で?」






「片想いしてた相手が、
クリスマスに買ってくれたの。」






「じゃあ、また買って貰えば?」






「…ううん。これでいいの。」







もう今、彼と会うことは無いから。

















手袋と一緒に菊の花束を置いた。





「覚えてる?昔貰った手袋。」









「…また来年に来るね。」


雪が降り積る寒い中、




私は、墓地を去った。

12/27/2022, 10:17:42 AM