故郷で見ていた朝日の温もりが好きだった。窓から差し込む光で目を覚まして、ちょっとだけ肌寒い外の空気の香りがとても良い気持ちがよかった。
故郷から遠く離れた町から、故郷の空気を懐かしく感じる。静かな波の音、木の枝が擦れる音、虫が鳴く音、車のいない大きな車道、それら全てが懐かしい。だが、不思議と帰りたいとはならない。別にコンクリートに囲まれた空間が恋しくなったわけではない。
色んな仕事を転々としては、住む場所を県ごと変えて移り住んでいる。まるで、故郷に変わる場所を探すみたいに。
自分と向き合うことが増えて、答えが出ないことに答えを見つけようとして見つけたものがある。自分は幸せになりたいわけではなかった、お金持ちになりたいわけでも、特別な何かになりたいわけでもなかった。自分の心地のいいと思える場所が欲しかったのだ。いつまでもいたくなるような場所を作りたかったのだ。
文字として書くことでしか表現することができない私だから、書くことに心地よさを感じる。心地よさは場所だけに限らず色んなところに見つけることができた。そんな心地よさを集めて、コレクションとして家に飾っていこう。
6/9/2024, 2:58:12 PM