#16 辞書をなくしたルサンチマン
今まで私が出会った物には全部名前があった。
チョコも傘も憎しみも悲しみも、
だから、こんな惨状を前にひたすら口を開けずにいる。
〝こんなはずじゃなかった
もっとこんな感じのはずで
あの子みたいになれたら 〟
って思っても体が動けなくて
何にも出来なくて、自分に抱いた嫌悪感とか劣等感はまた違う
よどんだ感情に濁されて1人で沈んでく。助けてくれよ
けど「助けて」って言ったらさ「どうしたの?」って話を聞いてくれんのが優しさなら、助けてなんて余計言えないよ
言葉に出来ない死にたさがまた首を絞めるんだね
いつになったら、あの子みたいに笑えるんだろうね
今日だってほら、くだらないことばっか言葉を紡いでる
大事なことはいつだって言葉に出来ないのにね
ずっとそんなままで結局何を求めてるの?
承認欲求なんて一時的だって早く気づけよ
書くのが好きで楽しくて始めたはずだったのにさ
いつから劣等感から逃げるための苦行になったの?
誰がしたんだよ。
8/13/2025, 10:35:42 AM