曇り
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「曇り」という言葉は、一般的にはネガティブなニュアンスで使われることが多い。「晴れ」がポジティブな意味で使われるように。だが私は「曇り」に肯定的な印象を持つ数少ない人間の1人であることをここに強調しておきたい。
私は晴れの日に出かけるのが苦手だ。太陽は私の全てを照らし、暗い影を否応なしにはっきりと映し出す。私が何者であるかを洗いざらい白状させられているような感覚に陥る。私は何者でもないし、何者にもなりたくないのに。だが曇りの日には、雲の影が世界を覆って私の影を隠してくれる。何者にもならなくて良いのだと、自分を肯定してくれている気がするのだ。もはや自分自身を隠す傘だって要らない。ありのままで良いのだから。
桑田佳祐さんの有名な曲に「明日晴れるかな」というタイトルがある。私ならこう書きたい。
「明日曇るかな」
3/23/2025, 2:17:57 PM