Yです。

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【飛べない翼】#11

 「飛べない鳥は、ただの鳥」

そんな言葉があるように、飛べない翼は、ただの翼だ。

 「飛べない翼なんて、翼じゃない。要らない。」

と思う人も多いはず。
僕もそう思っていた。

俺は生まれつき背中に翼がある。
でも、飛べないし、邪魔だし、何より、
色んな人にバカにされる。
飛んでみろよ。って言って、階段から
突き落とされたりもした。

だから、毎日、
明日には翼が無くなってますように。と願って寝る。

でも、そんなある日、1人の男の子と出会った。
その子はこう言った。

「翼、綺麗だね!かっこいいなぁ、!」

ああ、この子も、この翼が飛べると
思ってるんだろう。

「ぼうや、この翼はな、飛べないんだぞ??」
「かっこよくもない。ただの翼だ。」

男の子はびっくりした顔をする。
やっぱり、飛べるのかなってとこに
興味を持っていたのだろう。

「いいじゃん。いーじゃん!僕はおじさんの翼、好きだけどなぁ??」

その子はそう言った。
俺はびっくりし、すかさず聞き返す。

「え?なんで??飛べないんだぞ??」

「飛べなくても、別にいーじゃん!」
「翼は飛べるだけがいいところじゃないよ??」
「それに僕、おじさんの翼見ると、なんだか安心するんだ〜!」
「そう、、なのか、、??」

意外な返答が帰ってきた。
なんだろう。
この子の言葉、俺の胸にすげー響く。
俺は、生まれてから、31年間、ずっと
翼はいらない。と思っていた。
でも、この翼で、人を安心させることが
できるんだな、と思ったら、
この翼があってもいい気がしてきた。

「ぼう_」
「あ、僕お母さんに呼ばれちゃったから行かなきゃ!」
「ばいばい!」
「ぼうや、、、ありがとう。」

いつの間にか、俺の目に涙が溢れそうになっていた。
ぼうや、安心したのはぼうやだけじゃないぞ。
ぼうやの言葉で、俺もすごく安心できた。
今日は、いい気分で寝れそうだ。

11/12/2023, 5:36:35 AM