「街」私が暮らした街に雪が降る。私が暮らした街に雨が降る。私が暮らした街に日差しが降る。私はもういないけれど、振り続けている。かつて住んだ人々の声が夜空に満ちて、重みに耐えかね落ちて来るのが、見えるみたいだ。夜闇に銀色。果てしなく振り続けるのは時間よりも、心の方だ。時間を振り払い心だけが降れば、いつか、心の外殻は打ち壊され、弱く優しい心だけが降る。私が暮らした街に雨が降る。虹の雨が降る。光る雪が降る。
6/11/2024, 10:38:57 AM