落ち葉の道
風が吹いて、冷たい風が頬をさする。足元は赤と黄のカラーロード。
後ろからピヨピヨと音を鳴らしながら弟が母と手を繋いで歩いていた。
私は黄色い帽子を被って、青いリュックを背負っていた。
鼻にツーンと匂いを感じた。金木犀だ。
歩行者天国なこの道は、ずっと木々が生きていて、カラーロードが続いていた。
カサッと音がして、帽子を脱ぐと、まだ色づき切れていない葉が乗っていた。ほんのり赤の葉が、黄色い帽子の飾りのようだった。
幼いながらに、このカラーロードを美しいと感じた。
カサカサと音を鳴らしながら、このカラーロードを歩く。
今は紺のリュックを背負っている。
帽子は無くて、制服に身を包む。
今もツーンと鼻に匂いを感じ、金木犀を避けて歩く。それでも白いスニーカーはほんのりと黄色く染まってしまっている。
風が強く吹き、木々が歌い出す。
その歌の中から、笑い声が聞こえた。男の子の集団が、赤や黄の葉を手に騒いでいる。その1人に、私の好きな彼がいる。
彼は私に気づいて、こっちに走って来た。その姿に胸が高鳴るのを感じる。彼は黄の葉を握りしめている。
笑いを隠しきれない様子で彼は私の頭に触れ、離れる。
離れた手には、赤の葉がある。
「何つけてんねん」
彼は左右の赤の葉と黄の葉を見て、ニカッと笑う。じゃあな!と言い残すと、友達の元へ駆けて戻る。
私の顔はきっと、足元に散っている赤の葉と同じ色をしているだろう。
11/25/2025, 1:18:05 PM