雷鳥໒꒱·̩͙. ゚

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―たくさんの想い出―

初めて貴方を見た時、私は違和感を感じた
クラスの…ムードメーカーって訳ではないけれど、
このクラスには絶対的に必要不可欠な存在で、
みんなが貴方を慕っていた
でも、クラスから取り出してじっくり見てみると、
近づきたくないくらい、一風変わった人で、
『自分の世界』を持った人
頭が良くて、想像力が豊かで、突飛的な発想が多くて
思考回路がちょっと理解しがたい
そんな貴方に惹かれた
心も頭も君のことでいっぱいになって、
帰ってこなかった
これが俗に言う恋ってやつなのだろうか?
いや、たぶん違うと思う
好きと言うよりかは、どっちかというと、
懐かしいって感じがする
授業中は授業をしっかり受けつつ、
貴方を意識してた
黒板を真剣に見る目や、
机に頬杖をつきながら目を細めて、
実に面白いとでもいうように
他の生徒の発言を聞くところ、
或いは、また別の生徒の的はずれな回答を
クラスのみんなと一緒になって笑うところ、
全てが懐かしいと感じたんだ
気づけば貴方を目で追っているって訳じゃない
意識的に君を観察していた
そんなある日、貴方の発言が気に掛かった
校外学習のしおりを配られた時のこと
「僕、ここ、行ったことありますね
幼稚園ときに行きました」
いつも通り、誰に対しても使う敬語
でも、気になったのは内容の方
しおりに書かれている行先…実は、
私も幼稚園児のときに遠足で行ったことがある
貴方は幼稚園の遠足とは別に行っただけだという
可能性も十分有り得る
が、幼稚園児の時に行った記憶を
なんとか呼び覚ましてみる…と、
居た、貴方が居た
紺色の体操服に並んだ6つのひらがなは貴方の名前
あまり親しくしていた訳ではないようだけど、
確かに居た、
私のたくさんの想い出の中には
しっかりと貴方が映っていた
だから懐かしく思ったんだ
頭の中のモヤッとした部分が、
スッキリと晴れていく感じがした
胸の中に張り巡らされた糸の絡まった部分が、
するりと解けていく感じがした
それから、月日は経ち、私は
私が1番大好きな想い出の中にも居た貴方
そんな貴方に惹かれていた
無意識に君を目で追っていた
黒板を真剣に見る目や、
机に頬杖をつきながら目を細めて、
実に面白いとでもいうように
他の生徒の発言を聞くところ、
或いは、また別の生徒の的はずれな回答を
クラスのみんなと一緒になって笑うところ、
全部が好きだと感じたんだ

11/19/2022, 1:57:48 AM