眠り子

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心の中の風景は

勿忘草や青い薔薇が一面に咲き誇る高台に満天の星と月。あの世界の月は、人間界よりずっと大きかったと思う。
「ここの高台の花畑は、俺のお気に入りの場所なんだ。君にも絶対見せたくて」
言葉は覚えているはずなのに、優しく語る声も眼差しも手の温もりも1秒ごとに幻になっていくのだ。

私は、彼がいないだけの元の日常に帰ってしまった。
だけど心の中の風景と、あの言葉は、彼といた証拠で。いつだって私の胸を焦がし忘れさせてくれないのだ。

8/30/2025, 5:57:54 AM