箱庭メリィ

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月光。
月の光。

それは昔から人を狂わせるという。

僕の体質も、月光によって狂わされている。
僕の体は、満月の光を見ると毛むくじゃらになってしまう。
まるで何かの獣のように。

そして僕を見た人がみんな逃げていってしまうのだ。
毛むくじゃらになっている間は声も違っているようで、うまく話せない。

耳も良くなる。
少し外に出ただけで、家の中にいる村の人達の声まで聞こえてしまう。
僕を見て上げられる悲鳴や、嫌な話を聞きたくなくて、満月の夜に窓を開けるのをやめた。

僕の体に、何が起こっているのだろう?


/10/6『moonlight』



「おかあさん……」

か細い声が深夜の部屋に響く。
ふと目を覚ませば、8歳の息子が私を呼んでいた。

「トイレついてきて」

怖い夢を見たから、とわざわざ起こしに来たらしい。

トイレに付き添い、息子の部屋まで送ろうとすると、今度は一緒に寝てほしいと頼まれた。

「ひとりで寝るんじゃなかったの?」
「うん……。でも、今日だけ……」

私は俯く息子の頭を撫で、

「じゃあ、今日は一緒に寝ようか」

二人で寝室に行き、私のベッドに並んで寝ることにした。

久しぶりの息子の少し高めの体温がそばにあることに嬉しくなり、一人で寝られないのは私かもしれないと少しだけ思った。


/10/5『今日だけ許して』


誰か
僕の心に包帯を巻いて

ひび割れて
そこから液体が漏れて
痛いんだ


/10/4『誰か』

10/5/2025, 7:58:23 PM