川柳えむ

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 僕らは世界の平和の為、旅をする仲間。
 今日は不気味な魔物がたくさん出るという、おどろおどろしいダンジョンへやって来た。
「ここの魔物は恐ろしく強いという。気を引き締めていこう!」
 戦闘を進む僕は振り返り、仲間へと声を掛ける。
「おー!」
 仲間は元気良く腕を上げた。

 ダンジョンの奥は暗い。
 僕は慎重に様子を伺い――、
「わっ!」
 ――耳元で大きな声がした。
 僕の心臓は跳ね上がり、そこで記憶が途切れた。

「勇者ってばすぐ死ぬんだから」
 教会で生き返らせてもらった僕は、仲間の不満を一身に受けていた。
 いや、文句を言いたいのはこっちだ。
「驚かすなって、いつも言ってるだろ!」
「勇者がビビりなのがいけないんでしょ」
 勇者である僕の性格は、たしかに昇進者の怖がりで……逆に、仲間の性格は、怖い物知らずのいたずら好きだ。
 こうして、毎回驚かされては、声を上げる間もなく、死んでいる……。
「とにかく、もうやめて! 全然ダンジョン攻略進まないじゃん!」
「はーい」
 とか言って、なかなかやめてくれないんだ。
 驚きの感情を上回り、心臓が止まってしまう僕にも問題がある。しかし、それでもやめない仲間に、恐怖や不満の感情が沸き上がる。
 はぁ……。仲間がこんなんで、果たして僕らはやっていけるのかなぁー?


『!マークじゃ足りない感情』

8/16/2025, 5:25:49 AM